新社会党とは

中期方針

私たちの中期的な政策
−憲法を生かす連合政府をめざして


以下の政策は、21世紀の社会党が「憲法を生かす」政策として実現をめざし、そのたたかいを通じて共同戦線を結集する中期的政策です。ただちに実現をめざし取り組まなくてはならない諸課題ですが、憲法改悪阻止闘争に勝利し「憲法を生かす連合政府」が樹立されてはじめて完全に実現できることになります。

1.非武装中立の日本の実現

(1) 憲法第9条を完全実施し、世界にひろげる
① 永世中立宣言と日米安保・米軍基地の解消
 日本は、軍事的には非武装永世中立宣言を発して、軍事同盟としての日米安保条約は解消し、日米平和友好条約を結びます。沖縄をはじめとするすべての米軍基地はただちに縮小・撤去します。アジア・太平洋地域の「共通の安全保障」のため、地域のすべての国が参加する平和・軍縮・共生のための多国間の対話と協力のテーブルをつくります。

② 非核地帯の創設と核廃絶、大幅軍縮
 大幅な核軍縮を進めて核廃絶を実現するため、東北アジア非核地帯を創設し、核兵器全面禁止条約を実現します。核兵器を含む大幅軍縮を日本外交の柱の一つとし、すべての国に武器移転や武器貿易を中止させます。

③ 自衛隊の大胆な軍縮から解消へ
 自衛隊は大幅に削減し、その一部を災害救助組織・国際協力組織などに改変しつつ、段階的に削減して解消していきます。周辺事態法や自衛隊法、PKO協力法などを改廃し、21世紀の早い時期には憲法第9条を完全に実現し、世界の規範とするよう広めます。

(2) 平和を推進する国際協力とアジアの友好
① 国際協力組織と災害救助隊の創設
 阪神淡路大震災等をあげるまでもなく、真に必要なのは殺人のための装備と訓練を重ねる軍隊ではなく、専ら人命救助のための装備と訓練を重ねて、いつでもどこにでも機を逸することなく駈けつけることのできる災害救助隊です。PKFはもとより、PKOへの自衛隊派遣はせず、国内外の災害で活躍する災害救助隊や、難民・開発・環境問題などでの国際協力隊を創設して、非軍事の文民による国際協力を推進します。

② 「21世紀の国連」への改革
 国連の安保理常任理事国に入るべきではありません。大国が常任理事国などの特権と強い地位をもっている現状を根本的に改革して、常任制は廃止し、諸国民にとって平等で公正で民主的な、全人類的、地球的な諸課題に取り組むことができる権限と能力をもった国連に改めます。

③ 自立と共生の外交
 開発途上国との開発協力では、その国の民衆の真の利益を守り、住民の自立、福祉・医療・教育の向上、自然と共生可能な開発、平和の推進などに役立つ国際協力を実行します。ODAのあり方を抜本的に改革するODA基本法を制定します。多国籍企業の横暴を抑え、労働条件や環境を改善するため、労働者・市民の国際連帯を推進し支援します。外交や国際協力は政府だけのものとせず、自治体や市民や労働組合などもその特性を活かし、独自の国際協力と連帯活動を発展させます。

④ 戦後補償の実現
 強制的に「軍事的性奴隷」(「軍隊慰安婦」)とされたアジアの女性たち、日本の侵略戦争や富国強兵策のために徴兵、強制連行されたアジアの人びとに対して、日本の政府と国会は国家責任を認めて正式に謝罪し、適切な補償と正しい歴史教育を実施します。

⑤ 平和なアジアの実現
 他国を敵視したり軍事的に対抗する外交路線を改め、あらゆる国と平和で友好的な関係を積極的に結びます。朝鮮民主主義人民共和国との国交正常化を早期に実現し、朝鮮半島の自主的平和統一を支持し、交流と協力を進めてアジアの平和と安定をはかります。中国ともアジア・太平洋地域の平和と軍縮、紛争の平和解決などで対話と協力を進めます。

⑥ 政党レベルの交流、対話、協力
 私たちは、世界の社会主義政党、社会民主主義政党、労働者政党、人権擁護のために活動している諸組織などとの交流、対話、協力を発展させます。

2.誰もが安心して暮らせる社会の実現

(1) 社会保障の充実
① 生存権と国の責務
 日本の高齢者は人間らしい生活を奪われ、自殺死亡率がきわめて高い状態です。「自助・自己負担」が強調され、子どもや障害者に対する社会保障も低水準にあります。憲法第 25条の第1項は生存権を保障し、第2項はこれに関する国の責務を定めており、これを真に実現していきます。

② 医療制度の改革
 誰もが安心して医療を受けられる権利を確立し、医療過疎をなくすとともに、医療の地域的ネットワーク化を拡充します。医療費は基本的に公費でまかなうようにし、医療従事者の増員、身分・待遇の改善を進めます。薬害・過剰投与・医療過誤を防止するため、規制・罰則を強化し、患者の「知る権利」を確立します。

③ 年金制度の改革
 世帯単位から個人単位へ制度を改めます。高齢者が男女とも生活できる定額基礎年金方式を実施し、国庫負担の割合を高めていきます。また加入期間不足や未加入の人を救済し、定住外国人にも受給権を保障するため、受給資格を居住期間によるものに改めます。

④ 介護制度の改革
 社会的介護制度を確立するため、介護要員の大量育成と確保、そのための身分・待遇の向上を行ない、地域に密着した施設の配置・拡充など基盤整備に全力を上げ、介護費用は基本的に公費でまかなうよう改革します。

⑤ 保育制度の改善
 子どもが安全・健康に育ち、親の重い負担をなくして安心して預けられるよう、学童保育も含め、公営・公立保育所(園)の増設、民間保育所(園)への支援、保育労働者の身分・待遇の改善を推進します。また、保育制度と幼児教育の制度的な統合をはかるために、幼保一元化を進めます。

(2) 税制の改革
① 応能負担、所得再配分の原則
 税制は応能負担を原則とし、所得再配分の機能を発揮させなくてはなりません。中心は直接税において、間接税は個別に定めるべきです。大企業や大金持ちを優遇する不公平税制は根本的に改めます。

② 消費税廃止と具体的税制改革
 逆進性の強い消費税は税率引上げをせずに、廃止します。所得税は総合課税に改め、累進性を強化します。大企業優遇の租税特別措置を廃止し、法人税は課税範囲を拡大するとともに累進的多段階税率を導入します。一定以上の資産に対する資産課税を強化し、ぜいたく品に個別物品税を導入します。自治権の確立のために、地方自主財源を拡充します。

③ NGO・NPOへの免税
 NPOの法人格取得条件を緩和し、活動のための資産・所得やNGO・NPOへの寄付などへの免税措置をとります。

(3)教育基本法理念の具体化と文化の振興
① 基本法に基づく教育改革
 噴出するいじめや不登校、問題行動の原因となっている能力主義に基づく差別・選別・「自由競争」の教育を改めるため、憲法・教育基本法の諸原則を実現します。教育の機会均等と義務教育の無償、公費による教育条件の整備、平和主義・反差別・思想信条や良心と学問の自由・権力の不介入など、基本法の示す理念の全面的な実現をはかります。

② 国家主義教育と産・官・学癒着の改革
 教育制度・教科書への国家統制や「日の丸・君が代」と元号の強制をなくします。大学や研究機関への途上諸国からの受入れを増やします。教育委員は公選制にもどします。保守政党や大資本に従属した産・官・学の癒着を改め、「すべての都道府県に最低1校の公立大学」という原則も堅持します。

③ ゆきとどいた教育への改革
 子どもの意見表明権の保障など、「子どもの権利条約」を教育現場と社会全体に具現します。小中高校の学級規模を1学級20人以下とし、教職員定数を抜本的に改善します。教育における性差別を解消します。また障害児・者の隔離政策をやめ、統合教育を推進します。高校への全員入学、教育予算の大幅増額と保護者負担の軽減を推進します。

④ 文化活動の振興
 今日の美術・音楽・演劇・文学等は、一人ひとりの労働者、市民がそれらの「受け手」に押し込まれています。そのため、文化・芸術の個々のジャンルにおいて質の高いものを生み出すとともに、生活・労働に密着したところで誰もが創造し、直接に触れ楽しむことができるよう、文化・芸術活動の場を無数に作り出します。「個性の表現」ができるようにし、人権や共生の精神を育て、創造性や想像力を高める文化・芸術を支援・奨励し、多文化交流・共有を進めます。スポーツも同様の観点からの振興をはかります。

(4) 防災と生活環境の改善
① 住環境の改善
 都市における自然(緑・水域など)を保全・拡大します。住宅地などへの自動車交通を規制し、低床・高速の路面電車の復活・拡大や、歩道橋がなくとも歩ける道路構造などの改善を進めます。歩道と自転車道を整備します。社会的便益、緑・公園、災害対策等と組み合わせた都市計画に基づき、借り上げも含め良質で安い多数の公営住宅を確保します。

② 大規模災害に備える
 大規模災害に備え、都市構造や交通・通信の改善、備蓄の拡充などを進めるとともに、専門の災害救助隊を創設し、全国各ブロックに配置します。また公費による被災者支援制度を拡充します。

③ 土地の有効な活用
 「土地はみんなに与えられた財産」として、企業や個人の恣意と利益追求を社会的に抑制します。
 投機や資産としての大土地保有を規制し、防災と生活環境の改善に必要な公有地を拡大し、実際の生活に必要とする人びとへの供給を確保します。

(5) 情報技術の民主的活用
① 情報技術に関する基本的見解
 近年、インターネットの普及により情報技術はIT革命と称されるほど飛躍的な進歩をみせました。
 電信やそれに続く電話やファクス、さらにはラジオやテレビなど情報技術は、少数者間の双方通信であったり、また少数者から多数者への一方通信でした。今日の情報技術の主流であるインターネットは、多数者間の双方通信という点でそれら前世紀のシステムとは質的に異なっています。
 こうした特性はとりわけ市民運動の分野で国境を越えた組織作りに活用されています。一方では、IT犯罪やIT弱者の保護、個人情報の保護など、新たな社会的問題も発生しています。

② 情報技術と行政
 IT基本法による電子政府や電子自治体構想が政府主導で進められていますが、住民への情報サービスの向上や住民の行政参加などの肯定的側面がある一方で、住民基本台帳ネットワークシステムにみられるように新たな国民背番号制などの住民管理につながる危険があり、個人情報の保護やIT弱者の保護の視点で運用を監視します。

③ 情報技術と民主主義
 情報技術は直接民主主義の物理的条件を整備し、国民の参政権の充実に寄与する可能性を持っており、すでに平和運動や環境問題に取り組む住民運動において積極的に活用されています。
 すべての国民が情報技術を利用して直接民主主義の制度に参加できるよう社会教育上の施策を充実すると共に、経済的・年齢的・身体的条件の差異により不利益を被ることのないよう配慮した施策の充実をはかります。

3.人権を大切にする社会の実現
(1) 労働者の権利確立、均等待遇推進と雇用保障
① 働く女性、パートなどの条件改善
 募集から退職にいたるまで女性、障害者、高齢者、外国人などに対する差別の禁止を強化します。パート労働法を改正して、パートにも正規労働者と同じ権利=均等待遇を確立するとともに、また生活できる最低時間給を定めます。派遣労働、有料職業紹介事業など、自由化されたものは原則禁止にもどします。

② 職場に人権と民主主義の確立
 職場に労働者の権利と民主主義を確立し、過労死をもたらす過密・超過労働や、一方的な解雇・配転・出向・転籍や差別や労働条件の切り下げをなくします。不当労働行為は認めず、不当な解雇などは原状にもどすことも不可欠です。「解雇制限法」をはじめ労働法制を整備・改善します。ILO未批准条約を批准します。

③ 雇用の拡大と労働条件の改善
 賃下げや労働強化をともなわない労働時間の短縮を推進し、雇用と個人の自由な時間を拡大します。全国一律最賃制を確立します。労働組合を実質的に否定する賃金の「能力・成果主義」を改め、賃金など労働条件を横断的・産別的に決定する運動と仕組みを推進します。公的支援を拡充して障害者の雇用を拡大します。深夜労働を原則として禁止します。

(2) 女性の権利確立と地位向上の促進
① 一人の人間としての誇り・人権の確立
 女性は人類の過半数を占めるのに、社会制度の中では男性と対等に扱われていません。ことさら「女性の権利」と取り上げざるを得ない状況こそ女性のおかれている現状そのものです。「産む性であることを理由に」受けてきたすべての差別を取り除くために行動します。「男女共同参画基本法」を平等法として改正し、具体的かつ迅速に実行します。

② 労働における平等
 男女平等、差別撤廃のため、同一価値労働同一賃金とします。さらに、これまで性別役割分業をライフサイクルに誘導し固定化させてきた社会政策、世帯単位の税制度や社会保障制度を、個人単位へと改正します。

③ 家庭における平等
 国家による個人管理、「妻は夫の所有物」意識を支えてきた婚姻制度と戸籍制度を、個人の人格を尊重するものに転換するため、選択的夫婦別姓制度の導入を急ぎます。

④ 性的暴力等の根絶
 いっさいの性的暴力の根絶、国内外の売買春禁止を推進します。
⑤ 政策決定の場における平等
 女性たちが望む社会を女性たち自身の手で作るため、社会的・政治的政策決定の場への女性の参画が必要です。クオータ制を導入し、各級議会議員、行政職および管理職に占める女性の比率を高めます。

クオータ制
1. 1973年ベリット・オース(現オスロ大学名誉教授)が当時、政党党首になる条件として提示。その後、ノルウェーの他の主要政党も、政党の綱領に「10分の 4」条項を採用。
2. 1978年制定のノルウェー「男女平等法」が 1988年改正される際、「10分の 4」という数値を明記。
3. 1989年から三井マリ子さんがノルウェーを取材し、その仕組みを『クオータ制』と名付けて日本に紹介開始。

(3) 未来を担う青少年と学生に展望を開く
① 未来を切り開くために
 生活不安の増大、弱肉強食の社会で生きがいを失いがちな青少年に、人間的な社会づくりと連帯のひろがりの中でこそ明るい未来を切り開くことができることを示し、未来を担うべき青年や学生の自覚と先進的な行動と自主的な組織づくりを促します。

② 生きがいのある活動の保障
 文化・芸術・スポーツ、ボランティア活動、労働の体験、国際交流などを奨励・支援し、教育制度や職場にも組み込んで保障していきます。

③ 子育てもできる生活環境の確立
 青年にやりがいのある職場を保障し、人間らしい子育てのできるゆとりと生活環境を確立します。

(4) 少数者の人権尊重と差別の解消
① 被差別部落の完全解放
 封建社会の遺制であると同時に、資本主義の経済構造の中に仕組まれている部落差別をなくすことは、民主主義の徹底・発展にとって不可欠なことです。差別実態の根絶と格差の解消のために部落解放基本法を制定し、社会意識としての差別観念を払拭するために学校や社会教育で解放教育・人権教育を推進します。

② 障害者や高齢者も参加と活動の場を確立
 障害者も傷病者も、今や少数者とはいえない高齢者も、人間として尊重され、社会的な活動の場と自立が保障されなくてはなりません。適切な就職と待遇の保障をし、障害者や高齢者が自ら参加して住みやすい連帯の街づくり、職場づくりを進め、活動と能力の維持・発展の場をつくりだします。

③ アイヌ民族差別の解消と文化の尊重
 アイヌ民族に加えられてきた抑圧と差別をなくし、独自の歴史と文化と活動の場を尊重して維持発展をはかります。そのために新立法の制定や教育の充実、地場産業の振興、就職機会の均等化などを推進します。

④ 外国人にも基本的権利を保障
 定住外国人には、それぞれの民族的な文化や歴史を尊重しつつ、社会保障や教育、就職、地方参政権などの基本的な市民権を保障します。アジア系などの外国人に強いられている劣悪な労働条件や待遇を改善し、すべての外国人労働者に基本的な労働権を保障し人権を守ります。

4.自然を大切にする社会の実現
(1) 安全な食料生産と生命倫理の確立
① 農林水産業の振興
 世界人口は 2010年には 69億人になると推計されており、現在世界で8億人が飢餓状態におかれ、日本の食料輸入の増大がその大きな一因となっている状態を改善しなくてはなりません。食料自給率向上と農業後継者育成の観点からもミニマムアクセス(最低義務輸入)と減反政策をやめて、関税率を一定以上に維持します。地球の森林を守るためにも、海外での乱伐と輸入を規制し、国内森林の育成と木材自給率の向上をはかります。防災と緑の再生・保全、海洋の汚染防止、水産資源の維持・豊富化、育てる漁業などにとりくみ、農林水産業の再建を推進します。農山漁村における医療・教育・文化施設なども充実します。

② 生産保障と価格補償
 農林業は環境・国土保全、災害防止、水源涵養の機能を持つので、すべてを市場原理に任せることはやめて、不採算部門へは国の保護措置が不可欠です。主要な農産物や鮮度が大切なものなどには、自営農が存続可能な生産保障と価格補償の体系を確立します。農協の統廃合はやめ、農民と地域住民のために民主的に改革します。

③ 安全な食料の確保
 農薬や添加物の少ない新鮮で安全な食料の安定供給、遺伝子組み替え農産物やクローン家畜の規制、輸入農産物の安全性チェック機能や残留化学物質の規制強化、牛の肉骨粉の飼料利用の全面禁止など、安全性確保を重視します。家畜や人間の生活から排出される有機物質を大地に返す、地域リサイクル型農業を推進します。

④ 生命倫理の確立
 人における臓器移植、クローン生殖、遺伝子操作など、生命の根本を揺るがす問題に関しては、厳格な規制・禁止などの措置をとります。

(2) 環境保全・循環型の経済社会
① 温暖化防止と循環型社会
 地球の温暖化や生物の健康な生存条件の破壊を防ぐことは緊急の課題です。世界の森林の乱伐を防止し、育成をはかり、資源や労働の浪費をなくします。リサイクル、再利用を全面的に確立し、環境保全型の製品の開発・利用を推進して、環境保全を優先する循環型の社会をつくります。紙や資源は、原則として焼却や廃棄をなくします。ソフトエネルギー利用率の向上、エネルギーの有効利用、各種の浪費の解消などにより炭酸ガス濃度上昇を抑えます。

② 廃棄物と発生者責任
 産業廃棄物については発生者責任を明確にして、下請け業者などによる無責任な処理・処分を禁止します。ダイオキシンをなくすために、塩化ビニルなどの生産と用途を規制し明確化して、焼却炉行きの廃棄物には混入することのないシステムにします。すべての環境ホルモン(内分泌撹乱物質)を追放するために事業活動を規制・改善します。オゾン層破壊物質の生産・使用を禁止しま
す。

③ 自動車問題等の改善
 自動車、電気機器などの耐久消費材については、安全性向上と効率アップのための部品の取替え・補充に重点を置き、モデルチェンジ競争を規制します。廃品は企業に回収を義務づけ、部品別の再生利用をすすめ、環境汚染と資源の浪費を抑えます。ディーゼルをはじめ排ガスの規制基準を厳しくし、長距離輸送についてはトラックを規制し、船舶や列車による輸送を拡充します。私鉄を含め、安全で安価な公共交通体系を確立します。

④ 自然の保全と復元
 森林や河川、湖沼、海岸など自然を保全し、復元するとともに、緑の街づくり、自然公園の整備などを進めます。自然破壊がひどく無駄な干拓やダム建設などは中止し、既設のものも自然の回復に努めます。

(3) エネルギー政策
① 原発をなくす
 原発の建設や輸出は中止し、老化度や危険度の大きいものから速やかに廃止します。「もんじゅ」やプルサーマルなどプルトニウム利用とそのための再処理事業など、核燃料サイクルは即時廃棄します。できてしまった放射性廃棄物については、自治体と住民と専門家による監視のもとで、発生者が責任を持って原発敷地内に管理保管するようにします。

② 更新性エネルギーと自家発電
 広告用照明などをはじめ各分野の浪費を抑え、廃熱利用などで各産業や機器の効率を上げます。当面、天然ガスの利用率を上げ、省エネを進めながら、風力、太陽光、潮力など更新性エネルギーの開発利用を促進します。誰でもどの事業者でも燃料電池等の自家発電ができるようにし、余剰電力は電力会社が売電価格で買い取るものとします。

5.民主主義が満ち溢れる社会の実現
(1) 経済の民主的改革
① 勤労国民の立場にたった財政再建
 大企業本位の大規模公共事業は抜本的に見直して、高すぎる単価を切り下げ、原則として生活、福祉、教育、文化の分野の環境保全型の事業に限定します。公共事業の入札に際して、賃金その他の労働条件については標準をクリアーする義務を課します。大企業への補助金や租税特別措置を廃止し、税制は応能負担型に改革するとともに、納税者の権利を明らかにする「納税者の権利憲章」を法制化して、勤労国民の立場にたった財政再建計画を定めます。

② 独占的支配の制限強化
 独占禁止法の強化と厳格な運用を行ない、持株会社、大企業の合併は認めず、カルテル、談合は厳罰にします。大企業の株式保有を通じた他企業支配を規制し、親企業と下請企業との関係の民主化を進めます。独占価格、管理価格を規制するため、原価の積算根拠の情報公開を義務付けます。公正取引委員会には各界の代表を加え開かれた委員会にします。

③ 金融機関への規制
 日銀には独立性・中立性を保持させます。その政策委員会にはより強い権限をもたせ、勤労国民各層からの代表を加えます。バブル期のツケを国民に押しつける国費からの損失補填は認めず、関連金融機関全体の責任で処理させます。各界・各層の代表で構成する「投融資委員会」を設置し、投融資には基準を設けて信用膨張を防ぎ、国民生活改善関連に重点をおいて融資の対象範囲と融資枠を拡大します。預金者保護のために情報を開示し、経営責任を明確化します。

④ 大企業への規制
 海外移転規制法を定め、国内産業を空洞化させる海外への投資には規制を加えます。国際通貨安定に向け、為替取引の投機を防止するために国際協力を進め、課税を導入します。下請代金支払遅延防止法を強化し、支払遅延はもとより、海外生産を理由とする外注打切りを制限し、代替措置を義務づけます。環境保全・公害防止のための基準を定めた国際協定を締結し、国内外における公害・自然破壊の防止や自社製品のリサイクル回収に企業責任を確立します。

⑤ 中小企業や地場産業の振興
 大店法等を改正して、中小企業の活動分野に対する大企業・大店舗の進出を制限し、地域に密着した小商店を育成強化し、経営権を守り、地場産業の振興をはかります。中小企業を支援するため、研究開発の助成、新鋭設備への更新のための低利無担保資金の融資、利子補給などを拡充します。官公需要の一定割合以上を中小企業・地場産業に向けます。

(2) 政治と官僚機構等の改革
① 各種審議会の民主的改編
 各種の計画や政策の審議機関は、労働者、市民、農漁民、小経営者など、各界代表や各階層が推す学者専門家を中心に民主的な構成に改編し、官僚主導の運営はなくします。あらゆる審議会、下部委員会は公開を原則とします。各種の計画案は、国会や関係地方議会等の十分な審議と承認を受けるようにします。

② 官僚機構の民主的改革
 政治家も含む公務員のあっせん利得を禁じる「斡旋利得罪」を設けます。天下り禁止など、企業等との癒着を断ち切り、もてなしやおくりものを禁じるなど、汚職と腐敗を厳しく排除します。大使や官庁の局長以上の責任者は国会が承認し、罷免勧告権も持つようにします。キャリア・ノンキャリア制度など差別的人事制度は改廃します。公務員に労働基本権を回復します。

③ 小選挙区制の廃止と議会制民主主義の改革
 形骸化する議会制民主主義を改革するためには、市民=議員立法を促進し、行政に対する管理・監督を強め、国政調査権の機能を強化します。小選挙区制は廃止し、完全比例代表制にします。供託金は大幅に引き下げます。企業団体献金を禁止し、選挙は全面公営化して、戸別訪問は解禁します。汚職政治家を政界から締め出す政治腐敗防止法を制定します。国会議員にも罷免制度を設けます。選挙権は 18歳以上とします。

④ 司法、警察等の民主化と個人の保護
 盗聴を禁止し、国民総背番号制は廃止します。市民の知る権利とプライバシー保護の権利を法制化し、確立します。公安調査庁は廃止し、警察は、各級公安委員会の構成を住民代表によるものとし、情報公開を進め、警備・公安警察や機動隊を削減して、防犯や交通安全などを充実するなど、民主化します。参審制・陪審制による民衆の裁判参加、裁判官・検察官の選任や罷免を民主化し、最高裁判事の国民投票制はより実質的な内容に改善します。死刑制度は廃止します。

(3) 自治権の確立
① 民主主義の発展に不可欠な地方自治
 民主主義の発展にとって、地方自治、住民自治においてより直接的な民主主義を拡大することが不可欠です。自治体における議会制民主主義の改善も重要であり、議員定数は削減すべきでなく、むしろ少数者の意見をくみとれるように改善すべきです。市町村の合併は、住民自治と民主主義の発展に逆行しており、国は合併を誘導・強制すべきではありません。同様に、道州制もとるべきではありません。また政令市における区は、基礎的自治体として確立します。

② 住民投票、国民投票と情報公開
 可能な限り直接民主主義を拡充し、地域の重要な課題については住民投票で決める制度をつくり、国の重要課題については国民投票制度を検討します。行政情報や議会情報は「知る権利」を持つ市民のものであり、当然公開するものとします。

③ 自治権の拡充と確立
 国に集中している行財政の権限と財源を大幅に地方自治体に移し、国庫補助金や負担金を整理して、自治体の権限と自主的な税財源を拡充します。法定受託事務は廃止して自治体の権限とし、自治体の行政組織や公務員のあり方に対する国の干渉をなくします。地方公営企業の枠を拡げ、財政上の自主性を強めて、地域交通の確保、住宅建設、文化・スポーツ施設、新産業の開発等を積極的に推進できるようにします。

(4) 主権在民の確立と天皇制
① 天皇制と国政との完全な分離
 天皇制は、日本国憲法の主権在民・基本的人権の原則と矛盾するものです。天皇制イデオロギーを、あらゆる分野で払拭していきます。保守支配層は憲法の枠すら超えて天皇制の利用を拡大してきました。天皇が元首でないことは当然ですが、「皇室外交」など多国籍企業のための天皇・皇族の政治的利用をやめます。皇族の私事と公の行事とを峻別し、憲法第7条に定められた国事行為以外の公的行為への参加をなくします。

② 元号法と「国歌・国旗」の廃止
 元号法は廃止し、公用の年号は世界共通の西暦に統一します。「国歌・国旗」法を廃止し、一切の強制は認めません。

③ 「天皇陵」の公開
 「天皇陵」とされている古代の墳墓については、学術調査に公開し、宮内庁の管轄からはずして歴史的文化遺産として扱います。