今週の新社会

生活の安心にほど遠く
石破政権が「総合経済対策」

2024/12/04
閣議決定された経済対策の概要


     石破内閣は11月28日の臨時国会開会を前に22日、「国民の安心・安全と持続的な成長に向けた総合経済対策~全ての世代の現在・将来の賃金・所得を増やす~」を閣議決定した。国民民主の賛成を前提に補正予算を組むが、「手取りを増やす」と「軍事力を増やす」が一体で生活の安心は幻想だ。

     経済対策の規模は39兆円、うち一般会計から21兆9千億円、特別会計から9千億円、財政投融資から1兆1千億円支出するというもの。これに基づいて補正予算が組まれる。 

     問題はその中身。名は経済対策だが、「名は体を表さない」のが自公政権流だ。補正予算は本来、緊急を要する施策の具体化だが、当初予算に入らなかったものや、次年度予算の先取りという「慣例」が常態化してきている。 

     その典型が「防衛費」。21年度補正予算は7738億円で、当初予算5兆3422億円と合わせ6兆1160億円と初めて6兆円を超えた。その手法を織り込んで5年間で「43兆円」の防衛費確保を目論む。今回も「防衛力の強化」が入っている。大阪・関西万博の推進もある。 

     他方、「全ての世代の現在・将来の賃金・所得を増やす」経済対策は成長が前提であり、巨大企業や超富裕層に一極集中する富の偏在をただす分配政策への転換はない。 

     この転換なしに物価上昇以上の賃上げも最低賃金の全国一律1500円も不可能。まして国民年金水準を生活保護並みにすることはできない。「低所得者」への物価高騰対策支援金を場当たり的にばらまいても国民生活の安心は生まれない。 

     例えば非正規労働者の正規化を図るには教育訓練給付も必要だが、「5年で無期雇用転換」違反を罰則付きで担保するとともに、無期転換労働者を「名ばかり正規」にせず、同一労働同一賃金を保障する労働政策に転換することが急務だ。 

    しかし、「103万円の壁」問題の解消すら「人手不足解消」のためであり、一人ひとりが人間らしく働き、生きる保障は皆無だ。