道しるべ

「人間の安全保障」を前面に

2024/12/18
 総選挙結果から取るべき道 

  先の総選挙では、改憲派の3分の2議席占有は阻止できた。しかし、結果を概括すれば国民の分断はより一層進み、護憲派総体は後退した。新社会党を含む左派・護憲派はどう振る舞うべきか。

  国民民主党への若年層支持が伸び、20台で26%、30代で20%と得票率1位だった。「103万円の壁撤廃」「若者の手取りを増やす」という訴えが奏効したことは間違いない。 

  しかし、この訴えには「分断」が影を落とす。将来の希望のなさへの不満が、若者の間に鬱積している現れでもある。 

「さまよえる民意」 

  世界中で富の一極集中、貧富の格差拡大が進み、それを克服する社会構造ではなく、移民排斥など自国の富、自分の利益、それも目の前の利益を優先する空気が醸成されてきた。 

  東京都知事選での「石丸現象」や兵庫県知事選での斎藤元彦氏の再選を見れば、「さまよえる民意」と言わなければならないかもしれない。ことに、部下を自死にまで追い込んだパワハラすら正当化された兵庫県知事選の結果は、この国の民主主義の危機的な姿を映し出した。 

 「社会の正しい姿」を見る余裕すらない状況、新自由主義の行き着く姿が露わになったと言っていいかもしれない。 

 それは世界中に蔓延している。中東の混乱やロシアのウクライナ侵攻を前に、「自国中心主義」「敵に攻め込まれない軍備増強」が国際世論の多数を占めている。非武装・非同盟・中立、憲法9条堅持が「きれいごと」と受け止められる雰囲気が広がっている。 

「包摂の政策」掲げ 

 
そうであるなら、左派・護憲派はどう振る舞うべきか。「若者(だけ)の手取りを増やす」分断政策の対抗軸は、「社会に暮らす者誰しもが大切にされる包摂の政策」である。 

 「103万・106 万・1 3 0 万の壁」の徹廃はもちろん、普通に働けば暮らせる社会を実現する政策として訴えるべきは、「直ちに最賃1500円の実現。そのため中小・零細企業への支援」、「派遣労働の原則廃止・偽装請負労働の禁止」などだろう。 

  外国に攻められない軍備増強には、「パレスチナ・ガザの状況は地獄だが、『勝つことを許されない戦争』を続けさせられるウクライナの行先も地獄でしかない」と主張したい。 

  台湾有事を起こさせない、アメリカに追随しない東アジア外交やパレスチナにおけるジェノサイドストップ、ウクライナの停戦など世界的な「人間の安全保障政策」を訴える。