道しるべ

暗い時代に韓国民衆が灯

2024/12/25
2024年を回顧する  

  2024年が間もなく終わる。この1年を振り返ると世界の激動は半端ではない。だが、今年だけ回顧しても目まぐるしい事象の本質は理解できない。数十年単位の歴史的転換点に入ったようだ。

  20世紀末に社会主義体制が崩壊した。小選挙区制が導入され、日本社会党が解体した。 

  世界は「冷戦」終了で軍縮に向かい、「核なき世界」や環境危機対策が期待された。国内では、政権交代可能な二大政党制が出現するかに見えた。社会主義ではなく資本主義が人間本来の経済システムで、人類史は新たな段階を迎えたように言われた。中国も時がたてば資本主義に包摂され、無害になると言われた。 

トランプの再登場 

  ところがどうだろう。障壁が消えて「自由」に振る舞った資本主義は、米国震源のリーマン・ショックでつまずき、格差と貧困が重大問題として浮上した。世界最強の経済力・軍事力で巨額の富を蓄積し得た資本主義の盟主・米国で「自由と民主主義」が危うくなった。「労働者の怒り」をも簒さんだつ奪したトランプの再登場だ。 

  イギリスを基に資本主義を解明したマルクスに倣えば、米国こそ世界の激動の根源を探る対象だ。トランプはバイデンと交代するが、伸長した中国にかつてのように鷹揚に対応する余裕はなく、米中対立は強まった。 

  また、プーチンの侵略を防げなかった米欧の失敗、イスラエルの蛮行へのなりふり構わぬ軍事支援等々、「新冷戦時代」と言われる世界となった。そして、トランプの再登場だ。米国は誰が大統領であろうと中国封じ込めをしない限り国内の矛盾を糊塗できない業病に陥っている。 

矛盾の深化の結果 
  
  ウクライナ戦争も、中国との関税戦争も、主要国の物価騰貴と軍事費負担増への怒りを増幅し、独・仏の政治混乱、極右翼勢力の抬頭、エネルギー危機を口実にした原発回帰をもたらした。この三十余年の全世界の矛盾の深刻化の結果としての今日の事態であって、容易に改善できるとは思えない。 

  唯一の光明は大統領のクーデターへの韓国民衆の決起だ。この間の米韓日の対「北」軍事同盟強化路線を頓挫させ、朝鮮半島緊張を緩和する道を切り開いた。 

  日本の国会もメディアも「韓国の政情不安は心配だから日米韓の連携を強化すべし」との論調が殆どで情けない。だが、韓国民衆に習い、戦争、格差・貧困、環境破壊と対峙する人々の連帯を興し、社会変革の長期展望を練るほかはない。