道しるべ

年金と生保利用者は受難

2025/01/29
25年度の社会保障予算

   
過去最大の25年度一般会計予算で社会保障費も過去最大と宣伝され、予算全体の3分の1を占めて充実しているように見せる。だが、防衛費と子ども政策の財源確保のため抑制されている。

社会保障充実なし 

    社会保障の予算額は38兆2778億円、前年度より5585億円(1・5%)増となっている。 

    内訳は、自然増が6500億円、制度改革・効率化等で1300億円減(薬価改定、高額医療費の見直しなど)、社会保障の充実300億円(高等教育での多子世帯無償化の開始)で、差引約5600億円だが、自然増は値切り、充実はほぼないと言ってよい。 

高額療養費上限額

    政府は、こども・子育て政策の充実のため、「こども未来戦略」で28年度までに3・6兆円の財源確保を掲げ、そのために医療保険料への上積みを目論む。保険料引上げなしで行うとしており、医療保険料の引上げなしの財源確保は医療給付の削減となる。 

    狙い撃ちされたのが、法改正の必要のない高額療養費の上限額の引上げだ。5段階の区分が最終的には13段階に拡大され、負担額が大幅に引き上げられる。 

年金額はマイナス 

    年金の予算上の改定率は、1・9%(24年度2・9%)。内訳は、前年の物価変動率2・7%(同3・4%)、名目賃金変動率2・3%(同3・3%)、マクロ経済スライド調整率マイナス0・4%(同マイナス0・4%)で、2・3%から0・4%を引くと1・9%となる。実際の改定率は、1月公表の24年の物価変動率を受けて決定される。しかし、物価変動率と名目賃金変動率で、低い方に合わせるので1・9%だろう。 

     大幅な賃上げといわれた昨年の賃上げの水準にも達しないし、最近の物価上昇率にも達しない低水準の引上げであり、年金生活者の生活は実質低下する。 

生保費に500円 

    生活保護費は23年10月から特例加算されていた1人月1000円が、1500円に500円引き上げられるだけ。予算上は20億円増に過ぎない。物価高に対応せず、最低賃金の引上げも反映されない棄民政策だ。 

狙われる介護保険 

     今後の課題として、介護保険の利用者負担が2割となる一定以上所得の基準、現行年収単身で280万円・夫婦で320万円を、後期高齢者の単身200万円・夫婦で320万円に引き下げ、ケアプラン作成の有料化や要介護1、2の認定者の保険給付から地域支援事業への移行が言われる。