鎌田 慧 連載コラム
「沈思実行」

破綻寸前の石破政治   第235回

2025/04/02
  他の人が書くようなことは書かない主義だが、カネで動く政治については、やはり書いておきたい。 

  石破茂首相が首相公邸に自民党新人議員15人を招いてご馳走し、議員会館の各議員の部屋に、1000円の商品券100枚、つまり10万円を三越の包装紙に入れて秘書に配らせた。いままで、「両手で数えて足りるか足りないかくらい」の回数(10回ぐらい)を実施していた。 

  参院予算委員会の中継を見ていて、わたしが一番驚いたのは、「内閣官房機密費」を使ったのか、と問われて「私費です。議員を年近くやっていると、それなりに自由に使えるお金がある。亡くなった親の遺産もある」と答えたことだ。その口調のどこか嘘っぽい感じがあった。 

  その日の会合には、官房長官や副官房長官も参加していた。内閣官房費は、領収書も不要な機密費。野党対策やマスコミ対策に猛威を振るう黒いカネだ。これで15人の新人議員へ合計150万円も支払うのは軽いものだが、機密の「内閣官房費」を使った事実をカバーするには、「ポケットマネー」といった方が通りがいいようだ。 

  彼も安倍晋三元首相のように「誠心誠意」など、空虚な美辞麗句を煙幕がわりに多用する政治家だが、安倍とちがって、ねっちりした、持ってまわった暗い言い方に嘘っぽさが漂っている。 

  首相公邸でのパーテイには、出身地鳥取の郷土料理や酒が振る舞われたが、新人議員の1人が「私たちは全員石破派です」と語って気勢を上げていたようだ。「商品券」配布は自民党政治では、岸田文雄前首相もふくめて当たり前のようだ。 

  「党内野党」と言われ、田中角栄に師事し、軍事オタクであったにしても、自民党の裏金政治とは違う面があると思われていた。しかし、本人自身、思いがけなくも、首相の座についてからは、主体のない妥協だけに終始してきた。今や支持率25%で墜落寸前だ。 

  原発強行、米価高騰、低賃金。自民党政治の破綻は見えた。野党が統一して自民党横暴に終止符を打つ、チャンスがやってた。