今週の新社会

旧統一教会  解散命令 

2025/04/09
旧統一教会関連団体の集会に安倍晋三元首相がビデオメッセージ=2021年9月12日

被害広げた自民党の責任
追及の継続を


     世界平和統一家庭連合(旧統一教会)に対する文科省の解散命令請求について東京地裁は3月25日、解散命令を決定した。だが、解散命令は遅きに失し、自民党との関係の解明、被害者や宗教2世救済など課題は山積。何より旧統一教会と癒着して政治を歪めてきた自民党の責任が見過ごされてはならない。 

     東京地裁決定は、霊感商法や高額寄付などで約40年間に民事判決、和解や示談を含め計約1560人に約204億4800万円の被害があったとした。 

     解散命令は、「法令に違反する行為は約40年間、全国的に行われ、総体として、類例のない膨大な規模の被害を生じさせた」ことは、「総体として法令に違反して、著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為にあたる」とし、「旧統一教会に事態の改善を図ることを期待するのは困難」で、「解散によって法人格を失わせるほかに適当かつ有効な手段は想定しがたい」とした。 

     旧統一教会被害対策弁護団は同日記者会見を開き、村越進弁護団長は決定を、膨大な被害の実態を正しく理解したものであり、統一教会による被害者全員の救済と今後の被害抑止に向けた大きな一歩と評価した。 

     その一方で、清算に関する法規定が極めて曖昧で不十分なため、被害者救済のために特別措置法の立法の必要性を訴えた。旧統一教会が高裁、さらに最高裁まで争う姿勢を見せる中、被害弁済のための教団財産保持にも必要となるためだ。 

     旧統一教会は、自民党と〝持ちつ持たれつ〟の関係を築くことによって守られ、多くの被害者と膨大な被害が出たにもかかわらず、被害発生が続いた。また、安倍晋三元首相銃撃事件で明らかになったように首相経験者との親密性をアピール、広告塔とした。 

     自民党は旧統一教会との癒着関係で改憲志向を強め、ジェンダー平等に敵対するなど政策に大きな影響を受けた。選挙では運動員と票をあてにし、安倍元首相は票を差配して長期政権を維持した。 

     旧統一教会は、国民を食い物にする違法行為を繰り返し、その団体を利用し、利用されてきた自民党にこそ国民が解散命令を突き付けなくてはならない。