今週の新社会

困るのは消費者
日本の農業
崩壊へ加速

2025/04/16
「百姓は国の宝、所得補償を!」と訴えるトラクターデモ=3月30日、東京・港区内で


農民と連帯しよう

令和の百姓一揆
全国14カ所で取組み
 

     店頭からコメが消え、価格が高騰している。農業崩壊で都会の消費者がその影響を最も受けると訴え、「令和の百姓一揆」が3月30日、全国14カ所で同時に取り組まれた。「時給10円」のコメ作りといわれるように、日本農業は崩壊寸前。今こそ消費者と農民が連帯して食の危機を乗り越えようと訴えた。

    令和の百姓一揆ではトラクターデモが登場。ほら貝の音ともに東京・港区の青山公園を約30台が出発、渋谷など都心5・5㎞を行進した。全国14都道府県で合計300台がデモ行進した。 

    都心を走るトラクターデモに道行く人はスマホをかざして動画や写真を撮り、声援を送るなど大きな注目を浴びた。徒歩デモもトラクターに続き、各地の幟のぼり旗を掲げて3・5㎞を行進した。 

    3200人が集まった青山公園の集会で、令和の百姓一揆実行委員会代表の山形県長井市のコメ農家、菅野芳秀さんは、「農業は崩壊過程に入っている。村から農民が消え、農民が作る作物が消え、そして村自体が消えようとしている」と厳しい実態を報告した。

   「一番その影響を受けるのは農民じゃない。困るのは消費者・国民だ」「農民が残っている今、農民と皆さんが共同で力を合わせて農業を滅ぼす政治を変える。今日がその第一歩」と訴えた。 

   「農仕舞い」が雪崩を打つように始まっている。主として農業に従事する基幹的農業従事者は、2024年に111万人、2005年の224万人から半減した。団塊世代は引退目前、大軍拡より国民の胃袋を守る政治への転換が急務だ。 

    民主党・菅直人政権で農水相を務めた山田正彦さんは集会で、「欧州は農家収入の80%は国の所得補償、米国でも40%だ。私が農水大臣の時に8000億円(10アール当たり1万5千円)の戸別所得補償したら農家所得が17%上がった」と農業経営には所得補償が不可欠と強調した。 

   しかし、政権復帰した自民党・安倍政権は、農業への所得補償を「バラマキ」と攻撃して中止、今日の農業疲弊・衰退を招いた。 集会スローガンの「農民に欧米並みの所得補償を! 市民に安定した食を手にできる生活を!」の実現には政権交代しかない。