道しるべ

「最低保障」創設で額増を

2025/04/16
見送られた年金改革法案 

  今国会の重要法案とされる「年金制度改革関連法案」は、政府が閣議決定できず、国会提出されていない。今年度の年金改定は物価上昇率に満たない額で、生活できる年金制度が求められる。

物価高を反映せず 

  今年度の年金改定率は1・9 % である。24年の物価変動率が2・5%、名目賃金変動率が2・3%(比較して低い方に合わせることになっている)である。それからマクロ経済スライド調整率(マイナス0・4%)を引くので、1・9%の改定となった。 

  24春闘での30年ぶりの「大幅賃上げ」も、物価高騰も反映されない。本来、年金額改定は物価スライドでなければならない。 

  年金財政については、5年に1度財政検証が行われるが、24年はその年であった。厚生労働省は、昨年7月に「公的年金の将来見通し」を公表した。 

  検証の過程では、「国民年金基礎年金の加入期間を40年(20歳~60歳)から45年(20歳から65歳) に延長」や、「第3号被保険者の廃止」が検討されたが、厚労省は25 年改正から除外した。 

  改正の主な項目は ・厚生年金と基礎年金のマクロ経済スライドの調整期間を一致させること。制度導入時の04年財政再計算では、基礎年金と厚生年金の調整期間は、23年度に同時に終了する見込みだった。 

  デフレが続いたため、現段階では厚生年金は26年度で終了するが、基礎年金は57年まで続く。そのため、厚生年金の積立金を基礎年金の給付に活用し、36年度にマクロ経済スライドを早期終了させる案だ。発動は次期財政検証(29年予定)後に判断するとしている。積立金のイスラエル国債や軍事企業への投資が明らかになっており、監視が必要だ。 

・被用者保険の適用拡大。短時間労働者への適用拡大、適用事業所の拡大、「年収の壁」への対応を行うとしている。 

・在職老齢年金制度の支給停止基準額を現行の50万円から62万円に引き上げることとし、施行日は26年4月を想定していた。

・標準報酬月額上限を、上限等級65万円から75万円に引き上げる――などだ。 

生活できる年金に 

 
参院選をにらみ、保険料負担の増加を危惧する与党は、年金改革関連法の提出を見送ったが、いずれ提出される。物価高騰で年金生活者は苦しんでいる。わが党が掲げる全額税方式の「最低保障年金」の創設など、抜本的な制度改正に向けた議論が求められる。