鎌田 慧 連載コラム
「沈思実行」

石破政治の行方  第237回

2025/04/16
  嫌な気分。とコラムに書くのは「よくないな」となんども反芻するのだが、そんな気持ちのひとは増えているようだ。 

  石破の金券10万円。「自分を失っていた」などと奇妙な言い訳をしているが、「自分を失っているのは」いまに始まったことではなく、首相になってから、石破の独自性など何処にもみられない。 

  トランプ米大統領が就任すると、真っ先に駆けつけ、自動車関税25%をなんとか日本だけは勘弁して欲しい、と嘆願してきた。結局、24%と1%だけ安くなったのはその成果かどうか。 

  それと同時に、かねて米軍が自衛隊に要請していた「統合作戦司令部」が発足。「日米統合司令部」に向けて動き出す。いよいよ「敵基地攻撃能力」の共同対処の準備が、整えられることになった。さらに米政府は、日本の防衛費をGDP3%を要求しようとしている。これは石破内閣成立前からの動きだが、防衛族の石破が無関心のことはあり得ない。 

  「アメリカから言われたからではなく、日本としてこう考えるという独自の案を持って、それをぶつけて交渉するのが、独立国のありかた、同盟国のあり方です。『お代官さま、おねげえでごぜえますから、まけてくだせえまし』みたいな調子では、被占領国とあまり変わりありません」 と書いたのは、わたしの表現ではない。石破氏本人のご意見( 石破茂『国防』新潮文庫、2012年) なのだから、いまご本人が読み返して赤面しているであろう。とにかく、言動行不一致、優柔不断が、現首相の性癖のようだ。 

  トランプのまるで帝王のような傍若無人。独善、覇権国の国際法破りは止まることはない。アメリカ第一主義に、アメリカ追随国・日本は鼻面を引きまわされそうだ。ネタニヤフのイスラエル支持、ガザ所有? ウクライナを抜きにしたロシアとの交渉。国連無視。世界一金持ちの側近、イーロン・マスクを珍重、米国防総省の中国との戦争計画を漏らした、とも言われている。 

  電気自動車・テスラは中国市場も狙っていて利益相反。このめちゃくちゃに翻弄されている。