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2025年憲法アピール 新社会党

2025/05/03
構造的暴力をなくす

 憲法施行から78年、明文改憲は防いでいるものの、安倍政権による集団的自衛権行使容認という平和憲法を根底から覆すクーデターが強行されて以来、今日の〝新しい戦前〟体制に至っている。昨年秋の総選挙で与党が少数になったにもかかわらず、22年末の安保3文書に基づく先制攻撃体制や日米指揮権一体化、27年度には軍事費GDP比2%化は変わらない。

 野党第1党の立憲民主党は軍拡予算に反対や追及をせず、軍需産業育成や経済秘密保護法を認め、今国会ではサイバー空間の戦争に道を開く能動的サイバー防御法案に賛成している。

 明文改憲派が3分の2に満たない中でも、衆院憲法審査会では、「条文起草委員会の設置、各党の緊急事態条項(=任期延長改憲)の条文案の提出について採決する」との維新の提案に、自民、国民民主、有志の会が賛成している。会期末までの採決や、審査会の外で4党による条文作成に進む危険性は高まっている。
 
 
 戦争準備は亡国の道にほかならない。主観的に〝抑止力〟と主張しても相手国には
脅威となり、軍拡競争・安全保障のジレンマに陥る。歴史が示すとおりである。


 確かに一方的な情報により、攻められかねないと不安をあおられている。しかし、中国と台湾の関係は中国の国内問題である。その緊張をあおっているのは米国だ。それは衰えを隠せない米国の軍事力による支配という現実であり、それを日本に補完させることによって維持しようとする戦略に他ならない。日本は米国の武器を爆買いし、事あるときは自衛隊を前線で戦わせる、米国にとって都合の良い存在と化している。
 
 間違いなく戦争か平和かの岐路に立っている。私たちは戦争の準備ではなく平和の準備を進める。

 
 差別と貧困の蔓延は憎しみを生み、国内外で広がる排外主義は戦争に転じかねない。低賃金や競争の結果、希望のない人生という平和ではない状況を変えることが必要だ。単に戦争のない状態を平和とせず、貧困・抑圧・差別などの構造的暴力を解消する努力が今こそ求められている。


 私たちは憲法前文にある「われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めている国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免れ、平和のうちに生存する権利を有する」ことを忘れない。
 
 
 そしてそれを身近なところから実践する。 

 
 たとえば家父長制を根源とするジェンダー差別がある限り、構造的暴力はなくならない。選択的夫婦別姓制度導入はその暴力の一角を崩す。


 私たちが百円ショップやファストファッションで購入する物資や衣類は、だれがどのように作っているのか、思いを馳せたい。

 同じ職場で労働条件が圧倒的に異なる正規職と非正規職が働いていることに異を唱え、ただす。

 今こそ憲法を実体化する運動に全力を尽くそう。

                   
                       2025年5月3日
                       新社会党中央本部