今週の新社会

具志堅隆松さん訴え
「遺骨土砂 海に捨てるな」

2025/08/27
カーチス・ルメイの叙勲を取り消せと訴えるガマフヤーの具志堅隆松さん=8月15日、東京・九段の靖国神社前で

敗戦から80年の靖国
参政党が集団参拝 


  敗戦から80年の8月15日、靖国神社は異様な空気に包まれていた。大鳥居前には反中国や改憲を求める署名のテントが並び、次の総理・総裁を狙う高市早苗衆院議員ら自民党タカ派議員や閣僚が参拝し、参政党は国会議員と地方議員が集団参拝を行った。そうした喧噪の中で、沖縄地上戦の遺骨収集を続けている具志堅隆松さんが沖縄の戦没者の尊厳を守ってと訴えた。

  「核保有国に囲まれた日本を守るため、(中略)核廃絶を長期的な目標としつつ、今の日本を守るために、核保有国に核を使わせない抑止力を持つ」と、政策集(参院選公約)に書き込む参政党は衆参18人、地方議員70人で集団参拝した。集団で参拝した政党は参政党だけだ。

  参政党が言う、核保有国に囲まれた日本を守るには核保有国に核を使わせない抑止力を持つとは、まさに核抑止力のことだ。参院選時に参政党候補が発した「核兵器は安上がり」は、自民党の一部が言及する「核共有」論の先を行くものだ。 

  こうした「核抑止論」の高まりの中で、国土面積の0・6%に在日米軍基地の7割が集中する沖縄県は、日常的な基地暴力と治外法権に苦しめられている。沖縄県では、いままた対中国の前線基地化が日米両政府によって一方的に進められている。

  沖縄県外の無関心と政府の差別政策がもたらすものだ。 沖縄戦の遺骨収集ボランティア(ガマフヤー)の具志堅隆松さんは遺骨まじりの土砂を辺野古新基地の埋め立てに使うのは戦没者に対する冒とくだと、靖国参拝に来た人たちに訴え続けた。 

  具志堅さんは被災者310万人、死者10万人超の犠牲を生んだ東京大空襲や原爆投下部隊の指揮官、カーチス・ルメイの勲一等旭日大綬章授与は、戦没者の尊厳を踏みにじっていると抗議、授与取消しを内閣府に申し入れている。 

  具志堅さんは、「沖縄県南部戦跡の遺骨の混じる土砂を辺野古新基地埋立てに使うのは戦争犠牲者を踏みにじるものではないでしょうか」と靖国神社に足を運ぶ遺族などの参拝者に語りかけた。 

  この日は千鳥ヶ淵戦没者墓苑では正午から、フォーラム平和・人権・環境が主催する「戦争犠牲者追悼、平和を誓う8・15集会」が開かれた。 

  平和フォーラムの染裕之共同代表は、「歴史の忘却を許さず、平和憲法の理念の下に世界の平和実現に向け、不断の努力を続ける」と誓った。