今週の新社会

国がヘイト煽る
「不法滞在者ゼロプラン」

2025/09/10
入管法改悪に反対する国会前集会=23年5月


難民の生命や自由
脅かす〝入管行政〟


      先の参院選で外国人バッシングや排外主義が横行し、その中で特に参政党は「日本人ファースト」を掲げてヘイトを煽った。一方で、難民受け入れを頑なに拒み、そのため、いわゆる「不法滞在者」となった外国人を次々と強制送還しているのは法務省・入管庁だ。

   「『精神的な傷、治療を受けている』母国に身寄りがないのに強制送還 行くあてもなく空港のベンチで3日間」(24年12月15日)

 「難民申請中の17人を強制送還、審査体制への疑念は拭えず『母国での迫害』の懸念残したまま 改正入管法施行の運用状況公表」(25年3月15日) 

    ―これらは、東京新聞デジタル版報道の見出しだ。

     23年6月の入管法改悪以降、難民申請者等は恐怖を抱いて暮らしているが、拍車をかけているのが今年5月23日に法務省が発表した「国民の安全・安心のための不法滞在者ゼロプラン(ゼロプラン)」だ。 

  「不法滞在者はルールを守らない外国人」であり、「国民の安全・安心に大きな不安を与えている」と排外主義を正当化し、ヘイトを勢いづけている。 

    これに対し日弁連は7月の会長声明で、「法務省の認識は適正な保護がなされないために在留資格を得られない外国人が多数いるという実態に反している」とし、「難民認定手続及び退去強制手続に関する憲法上及び国際人権法上の重大な問題を解消しないまま、正当に保護されるべき外国人までをも排除しかねない施策となっており、極めて問題」と「ゼロプラン」に反対を表明した。 

      声明は、裁判で難民と認定した判例が24年に2件出されたことを紹介し、「その心身に重大な危険が及ぶ可能性の高い本国への送還を促進することは基本的人権を侵害しかねない」と警告。 

      さらに、「生命や自由が脅かされかねない人々」(難民)が、入国拒否あるいはそれらの場所への追放や、送還されることを禁止する「ノン・ルフールマン原則」、子どもの権利や家族結合権など、国際人権法の遵守が不十分だと指摘する。 

       国は、国際標準に対応するよう難民入管法改正を急ぐべきだ。