道しるべ

格差解消へ全国一律制を

2025/09/17
最賃1000円超えも課題

     
最賃改定額が出そろった。今年度の「目安」はA・Bランク63円、Cランク64円だったが、物価高や人手不足のため目安を大幅に上回る答申が続出し、全都道府県で初めて1000円を超えた。

多様な取組みで 

       中央での最賃アクションをはじめ、各県段階ではシングルマザーや技能実習生などの意見陳述や傍聴行動など多様な取組みが大幅引上げの一翼を担った。 

      その結果、国の示した目安を超えたのは39道府県、全国平均は現在の1055円から66円増え過去最高の1121円となった。しかし、物価高に負けない水準とは言い難く、フルタイムで働いても年収は220万円程度にとどまる。 

       政府は、2020年代に全国平均1500円とする目標を掲げるが、25~29年度改定で毎回7・3%のアップが必要になる。25年度の引上げ率は6・3%で、政府目標の達成には26年度以降、一層の引上げが必要だ。 

発効日の引延し  

       大幅引上げの一方で、改定発効時期の遅らせが相次いだ。例年は10月中の発効が一般的だが、今年は27府県が11月以降を予定し、秋田、群馬、徳島など6県は越年する。 

      最も早い栃木(10月1日)と、最も遅い秋田(26年3月31日)では、約半年の開きがある。この間の地域間格差は212円から275円に拡大し、28万円以上の収入格差になる。 

      発効日引延しには財界の意向がある。経団連は、春闘方針「経営労働政策特別委員会報告」で最賃改定の発効を遅らせるよう主張。また、石破政権が「骨太の方針」でアピールした中小企業支援拡充を具体化しないことが、使用者側の口実となっている。 

       最賃改定の発効日は、最賃法14条2の規定で春闘の賃上げを非正規労働者に早く波及させるため、原則は改定額を公示して30日後だ。例年は10月に各地で順次発効する。生活が厳しい労働者のためにも、発効日は早期一律実施すべきだ。 

中小企業支援を 

      財務省発表によると全産業の経常利益は前年度より7・5%増え114兆7288億円。企業がため込む利益の合計「内部留保」は24年度末時点で637兆5316億円となり、13年連続過去最高を更新した。 

      速やかな1500円以上の実現へ、今ある支援の他、大企業の内部留保課税で中小企業の社会保険料の事業主負担軽減をすべきだ。また、地域間格差と発効日のばらつきを解消するため全国一律制度の確立が急がれる。