今週の新社会

中国念頭に最大規模
日米共同軍事演習

2025/10/08
中距離ミサイルシステム「タイフォン」の前で
日米隊員が肩を並べる=陸上自衛隊Xから


日本各地で展開


沖縄では抗議行動
中止・変更させる


       過去最大規模の日米共同軍事実働訓練「レゾリュートドラゴン(RD)」が陸上自衛隊や米海兵隊など1万9千人が参加して9月11日から25日にかけて日本の各地で行われた。今回の演習は対中国を意識し、島嶼防衛を口実とした日米同盟の抑止力・対処力をいっそう強化しようというもの。政府が専守防衛から集団的自衛権行使容認に舵を切って10年、世論を「台湾有事」で煽り、中国を威嚇する軍事大国化の行く末は危険極まりない。

    「不屈の龍」を意味するRDは、日米の連携強化などを目的に21年度に4000人規模で始まり、毎年実施されている。今年は、昨年の倍の規模で8道県で行われた。米軍は最新鋭ミサイルシステムを初めて展開するなど、ミサイルの展開訓練が特徴となった。 

      中国の海洋進出への対処としているが、中国の喉元にミサイルを突きつける演習は中国を威嚇し、軍拡を煽るもの。石破茂首相の国連総会演説、「戦後80年、日本の平和は『アジアの寛容』に支えられた。アジアの首脳と意見を交わす中で未来志向の関係を進めるべきことを改めて確信した」(9月25日)と全く整合性がない。 

      一方、沖縄県では演習に対する県民の強い反対の声があり、与那国島では、米軍が初めて計画した高機動ロケット砲システム「ハイマース」展開を取りやめ、衛生、救護訓練に切り替えられた。また、宮古島での物資輸送訓練は住民が抗議して中止に追い込んだ。

      だが、山口県岩国市の米軍岩国基地では、米陸軍が射程1600㌖の巡航ミサイル「トマホーク」などを発射するための中距離ミサイルシステム「タイフォン」を配置。沖縄県石垣市では、米海兵隊が最新の無人式地対艦ミサイルシステム「ネメシス」や短距離防空システム「マディス」を初めて展開した。 

      また、防衛省の民間輸送力活用事業「PFI船舶」に位置付けられた高速フェリー民間船「なっちゃんWORLD」が救護訓練と称して初参加した。

    「戦争法制」強行後、確実に大きく変わったのは軍事予算で、当初予算が15年度の4兆9800億円から今年度8兆7千億円。GDP比1%を大幅に超え、27年度には2%に達する見込みだ。 

         国会も大きく変わった。自公は少数与党になったが、国民民主、参政、維新は「9条改憲連合」で憲法を巡る情勢は悪化している。 

        他にも秋の臨時国会に「スパイ防止法案」が議員立法で提出されようとしている。立憲民主党は、戦争法制について「違憲部分を改定」などと言っている場合ではない。