今週の新社会

今国会で実現を
再審法改正

2025/11/19
「臨時国会で再審法の改正を」と訴える鴨志田祐美弁護士(写真中央)=11月6日、衆院議員会館前

冤罪晴らすため
法制審の議論では後退 

    
再審法改正が、臨時国会の焦点となっている。今年の通常国会に提出された6野党の「議連案」に対し、法務省が法制審議会(法制審)で巻き返しを図っているためだ。日弁連や再審法改正をめざす市民の会(市民の会)は、二度と冤罪を起こさないため、また冤罪を晴らす時間を浪費させないため、臨時国会で成立をめざしている。 

       再審無罪となった袴田事件は死刑確定から58年、福井女子中学生殺人事件は有罪確定から再審無罪となるのに28年かかった。狭山事件の石川一雄さんは第3次再審請求中に無念の死を遂げ、現在妻の早智子さんが第4次再審請求を行っている。

       市民の会は11月6日、何としても臨時国会で再審法改正案を成立させようと、衆議院第二議員会館前で集会を開いた。 

       集会で日弁連の再審法改正実現本部の本部長代理の鴨志田祐美弁護士が、朝日、東京、産経と3日連続で再審法改正を1面で報道し、報道機関は右も左もなく、冤罪被害者を迅速に救済できるかどうかという危機感を持っていると強調した。 

        鴨志田さんは、法制審で議論されている証拠開示はルールは作るが、開示枠が狭められ、裁判所による開示請求もできるという消極的な内容。議連案は再審請求側が証拠開示を求めたら、裁判所は開示を命じなければならないとする義務規定となっており、まったく違うと指摘した。 

       また、鴨志田さんは法制審の議論は、裁判所の再審決定に検察官が不服申し立てを行う検察官抗告は必要とする方向。議連案は全面禁止だ。だからこそ、この臨時国会で議連案を通して、唯一の立法機関である国会の矜きょうじ持を見せてほしいと強く訴えた。 

       映画監督で市民の会共同代表の周すお防正行さんは、証拠開示をなぜかたくなに拒否するのか、それは開示したら再審を求めている者はすべて無罪になってしまうことを恐れているからだと喝破(かっぱ)した。 

       当事者として発言したのは、教え子にわいせつ行為をしたとされた元小学校教員のJさん。今年3月に満期出所し、再審で闘っているJさんは、自分ではなく、第三者のDNAの鑑定結果にもかかわらず有罪になった。 

       裁判で私がつけていた子どもの記録や公文書の開示を求めたが、開示されなかった。刑務所で超党派の再審法改正案を読んで鳥肌が立つほどうれしかったと、議連案の1日も早い成立を訴えた。