今週の新社会

「戦争の危険開く」
首相官邸前 市民が緊急集会

2025/12/17
高市発言の撤回を求めて声を上げる首相官邸前集会=12月4日、東京・永田町

 首相は発言を撤回し
「共同声明」に立返れ


         日本が集団的自衛権で米軍とともに武力行使できる「存立危機事態」について、高市早苗首相は11月7日の衆院予算委で、「台湾有事」における対中国の具体的事例を答弁、自民党政権がとってきた「あいまい戦略」を踏み越えた。中国は即座に「核心的利益」を侵害したと猛反発し、日中関係が悪化している。国内でも国民を危険にさらし、平和国家日本を破壊するものとの反発が強まっている。

        中国の「核心的利益」とは何か。中国政府が自国の存立に関わる絶対不可侵の利益と位置付け、いかなる犠牲を払ってでも守り抜くとするもので、これは外交交渉の余地がない、最も重要な国益を指すものとして、国家主権と領土保全がこれにあたる。 

        日中が国交回復した1972年の日中共同声明で、中国政府は台湾が中華人民共和国の領土の不可分の一部であることを表明したことを、日本政府は「十分に理解し、尊重する」とした。

  今回の高市発言は日中間の平和共存を規定した共同声明を根底から覆すもの。問題はこの発言が単に従来の政府見解からの逸脱や、外交上の失態ではないこと。米国の対中戦略の先兵となるべく異次元の軍事強化を図っている延長線上に生まれたものだ。 

  高市発言に、「よく言った」と反中ムードを煽る風潮がある一方、さらなる戦争国家への暴走が平和と暮らしを壊すとの危機感が高まっている。 

  「WE WANT OUR FUTURE」主催で11 月23日、首相官邸前で発言撤回と憲法の平和主義を守ろうと1700人が集会、11月25日は、憲法9条壊すな!実行委員会など37団体が呼びかけた緊急行動には500人が参加した。 

  東京都内でも氷点下を記録した12月4日は2回目の緊急行動が取り組まれ、300人が官邸前で「戦争あおるな!」「高市発言今すぐ撤回!」とコールした。

  「学費値上げ反対全国学生ネットワーク」の東大生、金澤玲さんは、高市発言は外交の前提を覆し、台湾をはじめ東アジアの人々に戦争の危険を開くと批判、その上で武力をちらつかす中国にも話し合いと理解の立場をとるよう求めた。 

  高市首相は発言撤回を拒んでいるが、両国政府のメンツとメンツのぶつかり合いが両国民の不幸を招かないよう、首相は発言撤回か辞職すべきだ。