鎌田 慧 連載コラム
「沈思実行」

「高市首相が天の願い」   第273回

2026/01/28
  奇妙な現象なのだが、高市早苗首相、わたしのまわりに、「よし」とする人は1人もいない。フリーライターで、会社のような団体に所属しているわけではないのだから、それで不思議ではないのだが、たとえば、石破茂前首相には同情的な人たちはいた。 

  リベラルだった、と石破氏自身が父親について書いているが、その影響もあってか、彼には自民党には収まり難いところもあった。それでも自民党総裁、総理までなったのだから異色の出世だった。 

  しかし、優柔不断、附和雷同。自民党主流に迎合すぎて、敗戦80年の歴史的な記念日に、歴史に残る首相談話を出す決断ができなかった。日和見主義がチャンスを逃したのだ。いまでも石破首相の方が高市首相よりよかった、という人たちがいる。「歴史にif(イフ) はない」。トランプ米大統領の傍(かたわら)で、喜色満面、ピョンピョン跳ねる日本の首相、その現実を噛み締めるしかない。 

  高市首相の最大の過ちは「台湾有事は存立危機事態になり得る」という発言。これは安倍晋三元首相の持論だった。が、その発言は首相在任中ではなく退任後、政府の最高責任者の発言ではなかった。ところが高市首相、就任直後の舞い上がっていた時の発言で、その危険性を認識していなかった。失言として撤回すれば、あるいは収まっていた。 

  軍事強化に抵抗がない高市首相は、防衛費の国内総生産(GDP)比2%、11兆円を達成、トランプ氏が要求する3・5%にむかう危険性が強い。 

  「我々が応援した国会議員の総数は、自民党だけで290人に達する」とする、韓国統一教会の内部極秘文書「TM特別報告」には、「高市氏が自民党総裁になることが天の最大の願いである」と書かれている(『週刊文春』1月15日号)。

  「TM」とは「トゥルーマザー」(真の母=まことのはは)の略で、韓鶴子(ハン・ハクチャ)統一教会総裁のことである。この文書に高市氏は32回も登場している。中国敵視政策で軍需産業の利益を拡大させ、自分は統一教会に支えられ、この首相、一体、この国をどこへ押し出すつもりなのだろうか。