鎌田 慧 連載コラム
「沈思実行」

軍事国家反対にむけて    第277回

2026/02/25
  あたかもクーデター風。意表というか、隙を突いた「抜き打ち解散」。野党は対応できなかった。 

  316議席。空前の議席を獲得した高市自民党は、憲法改悪を主張する政党である。連立の右派・維新もふくめて352議席。すでに憲法改悪発議に手が届く議席数だ。野党の国民民主、参政党、新党の「みらい」まで改憲賛成である。 

  「首相がやると言ったものは全部やる、フルスピードでやる」。首相に近い政権幹部が豪語した(「朝日新聞」2月11日)。さらに翌日の朝日は、「改憲賛成派 当選者の93%」と1面トップで報じた。最大野党の中道改革連合でも、58%の議員が賛成、という。 

  選挙の後、寝覚めの悪い日々が続いた。「戦後民主主義世代」というのか、90代前半、80代、70代のひとたちは、日本国憲法に誇りを持って育ってきた。もちろん、その後も平和教育は続いていて、反戦の意識は強かった。今回の選挙まで自民党はたいがい政権党だったとしても平和主義者もいた。 

  前回までのように衆議院での少数、参院では野党が強く、憲法改悪などには踏み込めなかった。それが高市首相の無知とも言える蛮勇とポピュリズムが、今回の圧勝をもたらした。民主主義のタガがはずれた状態がこれから続く。 

  高市首相は3月中旬、ホワイトハウスを訪問する。その前に赤沢亮正経済産業相が訪米して5500億ドル(86兆円)の対米投資の細目を詰める。トランプは高市当選の直後、SNSで祝辞を送り、「力による平和」の取り組みを強調している。米製兵器のさらなる大量買いが促進される。そのあと自衛隊の出動が要請されることになろう。 

  小泉進次郎防衛相は、憲法改「正」の国民投票を速やかに実施しようと主張している。スパイ防止法には野党の国民、参政、みらいなども賛成している。 

  軍備強化反対、非核3原則維持、原発反対など、戦争につながる政策への反対運動が弾圧される時代になりそうだ。個人の人権と思想の自由が脅かされないために、地域での運動をどう強めるか。その話し合いをはじめよう。