道しるべ

“維新流”に要警戒だ

2021/08/17
 先に行われた兵庫県知事選挙は、自民党と日本維新の会が推薦した元大阪府財政課長の斎藤元彦氏が当選、全国で2番目の維新推薦知事が誕生した。「県政転換」を掲げており、維新流に要警戒だ。

 無所属新人5人で戦われた知事選は、実質的には斎藤氏と5期20年続いた前知事の後継で前副知事の金沢和夫氏の一騎打ちだったが、異例の選挙戦となった。投票率は41・10%(前回40・86%)。

 政権中枢が介入

 県政与党の最大会派、自民党県議団が推薦を巡って分裂し別々の候補を推す事態となり、与野党相乗りで現職知事を支えてきた兵庫県知事選の構図が崩れた。自民党の斎藤氏推薦の背後には党中央、政権中枢の強い介入があったとされる。

 さらに、兵庫県知事選に日本維新の会が初めて参戦、自民党と共闘したことも特徴的だ。

 これに対し、「県民党」を掲げた金沢氏は、自民党県議団の一部、立憲、国民、社民、新社会の各党や連合、市民団体などの支援を受けた。公明党は自主投票、共産党は独自候補を擁立した。

 新社会党兵庫県本部は、「維新県政をつくらせない」「中央支配を許さない県政を」という立場から最終的には金沢氏の支援を決めた。

 選挙結果は約26万票の大差がつき、兵庫での維新の伸長を強く印象づけるものとなった。

 斎藤氏は、副知事経験者が4代59年にわたり知事を務めてきた構図を攻撃、「若さ」と「県政刷新」を前面に打ち出し、変化を求める有権者の思いをうまくとらえたといえる。

 得票結果の内実の一面を、神戸新聞社などによる出口調査からみてみたい。

 維新支持率17% 

 政党支持率では、自民33%、維新17%、立憲、公明、共産が各5%、支持政党なしが25%である。維新の17%は驚異的で、神戸市や阪神間の都市部では自民に迫る支持率だ。

 そして、自民支持層では斎藤氏に48%、金沢氏に39・8%が投票。維新支持層では81・8%が斎藤氏に投票。立憲支持層では56・6%が金沢氏に、斎藤氏には24・2%が投票した。

 公明支持層では47・1%が金沢氏、40・3%が斎藤氏に投票。無党派層では斎藤氏、金沢氏がそれぞれ約40%で分けた。

 斎藤氏は当選後早速、知事退職金5割、給与3割減などを表明。そして、知事直轄の「県政転換の司令塔」とする「新県政推進室」も新設した。今後の維新流県政運営に、警戒が必要だ。