道しるべ

綻び顕在化 介護は税で!

2020/11/24
綻び顕在化 介護は税で!
介護保険制度20年

 介護保険制度は2000年4月にスタートし、今年で20年目に入っている。「介護の社会化」を旗印に公的保険としたが、度重なる法改正が続き、「給付の抑制と負担の強化」が進行している。

新社会党だけ反対
 介護保険法案は1996年11月、第139回臨時国会に上程された。2度の継続審議を経て、97年‐2月に成立した。法案に反対したのは、新社会党(参院議員3名)のみ。反対理由は、「介護保障は保険ではなく税で行うべき」であった。
 なぜ、できたのか。第一には、高齢化が進み、高齢者医療費が増大していたため新たな保険を作り(介護による医療の代替=高齢者医療の抑制を目指した。
 第二には、家族介護が困難な世帯が増え、「介護の社会化」が求められていた。しかし、仕組みは家族介護が前提となっている。
 第三に↓民間活力の活用」を掲げ、行政サービスからの撤退を目論んだ。そして、営利企業の参入が促進され、介護職員の労働条件は低水準に置かれている。

制度は改悪の連続
 介護保険は、1期3年ごとに保険料や介護報酬の改定などが行われる。保険料は、第1期の全国平均が2911円だったが、現在の第7期は5869円と2倍強。認定者数は2000年度の218万人から19年度678万人と3倍となっている。保険料の引上げは必至だ。
 2000年代も同居家族がいる場合のホームヘルプの利用抑制などの制度改悪があったが、10年代に第二次安倍政権が発足して以降の制度改悪はすさまじい。
 14年は、要支援認定者のホームヘルプとデイサービスを保険給何から外し、市町村の総合事業に移行、特別養護老人ホ―ムの入所資格を要介護3以上に限定、利用者負担原則1割を年金収入で年280万円以上の人は2割負担に引上げ等の改悪を行った。
 15年の介護報酬改定では、全体で2 ・27%のマイナス改定。17年には、利用者負担3割の導入、廃止予定だった介護療養病床を新設のヽ介護医療院」に転換等を行った。さらに、社会保障審議会で先送りされた要介護者への家事援助を市町村の総合事業ヘの移行が、厚労省の省令改正で来年4月から可能とした。
 介護保険制度は当初の理念・原則をかなぐり捨て、保険料と利用料の引上げ、サービス利用抑制が続いている。公的保険を謳うが、公的責任は後退、保険制度の脆さが露呈する。今こそ、「介護保障は税で」と主張する。