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下地島空港の『宇宙港』計画

2020/11/24
下地島空港の『宇宙港』計画

 宮古諸島の下地島空港に、宇宙航空機を発着させる計画がある。宇宙開発などを手掛けるPDエアロスペースが有人宇宙旅行を2025年に開始するというもので、沖縄県は基本合意書を締結した。
 下地島空港は、復帰直後に開港したパイロット訓練飛行場が役目を終えて閉鎖、19年3月に民間空港として開港したばかり。航空需要が低迷し、県は、「沖縄振興の起爆剤になる。光明が差したス9月11日『沖縄タイムスしなどと手放しだ。

 同紙社説は「計画にロマンを感じる」「実現すれば有人宇宙旅行の拠点としてアジア初となる。旅行費は一人一千万を超すといわれ、国内だけでなく、アジア圏の富裕層をターゲットに想定している」とする。
 とんでもない話だ。宮古島諸島はどの島も巨大リゾートの波に呑まれ、生活の糧を得ていた海は奪われ、島は観光植民地化で住民は隅に追いやられている。そこに、「超富裕層のための宇宙旅行空港」なんて、島民を二重に踏みにじる計画だ。その後、地元紙に「宇宙港」への批判記事はなかった。唯一、宮古島市で反対集会がもたれた。宮古島では自衛隊基地の建設が進み、南西諸島全域の軍事化に反対運動を続けているメンバーの集会だ。
 そんな折、在沖米軍に「米宇宙軍」が創設された。『琉球新報』は次のように報じる。
 「県内初の米宇宙部隊は空軍から移転した兵員で構成される『第‐6宇宙管制隊』で9月に配置された。新たな軍種として、トランプ大統領の指示により2019年12月に創設された。陸海軍の宇宙分野の機能を統合し、1万6千人規模で宇宙空間の監視やミサイル早期探知といった宇宙領域の作戦を担う。中国やロシアが開発している衛星攻撃兵器に備えた衛星網の強化を揚げている。防衛省も今年5月に、航空自衛隊にこうした役割を担う宇宙作戦隊を発足させている」。
 前田佐和子氏(宇宙科学。理学博士)は、「防衛省は、5兆3千億円にのぼる2020年度の防衛費の概算要求のなかに、他国の人工衛星から電波妨害などを常時監視することを任務とする20人規模の『宇宙作戦隊(仮称産を航空自衛隊のなかに創設することを盛り込んだ」と述べるS宇宙に拡がる南西諸島の軍備輪″出2020年2月)。

 下地島空港に進出予定のPDエアロスペースには、ANAホールディンクスとみずほキャピタルスが出資、東大などと産学官の連携でエンジンや機体開発を進めているという。地球環境が悲鳴をあげている時に、それどころではないはずだ。