鎌田 慧 連載コラム
「沈思実行」

秘密の核施設誘致(中)  第181回

2024/02/14
  もともと極めつきの戦争犯罪(民間人の大量殺害兵器)である核爆弾。それを「平和利用」と言うフェイク(欺瞞語)で商業利用に転用した原発には、無理があった。それも米産原発と濃縮ウランの押し付け。人口の少ない僻地が建設地として狙われた。 

  しかも、地域は保守派が根強い。それが原爆に大量殺害された日本が、核発電を海岸線に五十数基も並べ、原発列島になった理由だった。 

  「原発反対運動に勝ったところに原発がなく、原発反対運動に負けたところに原発がある」。というのは、70年代はじめから原発地帯を歩いてきた、わたしの経験則である。たとえば、日本海側での新潟県柏崎・刈羽原発地帯が7基建設になったのは、田中角栄の「越山会」の地盤だったからだ。太平洋岸では、鳥も通わぬといわれた浜通海岸に、東京電力原発10基建設、さらに東北電力4基の計画があった。 

  岸田首相がいまだに「新増設」などと主張するのは、自民党三代目(親戚に宮澤喜一)長男の、現実無知、空疎な答弁しかできない無思想のせいだ。

  もう原発は歴史的に決着がついた。新増設はすでに非現実的であり、使用済み核燃料の処分地、その前の「中間貯蔵地」さえ、未解決なのだ。 

  瀬戸内海に突き出た岬の先端、上関原発の敷地に「核燃料中間貯蔵所」を押し込もうというのは、中国電力と関西電力が相乗りの陰謀だ。もう40年以上がたっても、稼動できない点では、六ヶ所村(青森県)の核燃料再処理工場とおなじ、「原発伝説」。 

  わたしは上関原発の建設に反対して、神社本庁から追放され、無念のうちに世を去った、四代八幡宮の宮司と知り合いだった。彼にくらべると、明治神宮が森を売りとばす背徳ぶりを理解できる。 

  反対運動で建設計画を潰した豊北原発は、安倍晋三の父親・晋太郎が持ちこんだ。上関原発は西村康稔前経産相の義父、吹田晃元自治相が失敗した豊北原発の代りにもってきた、と「上関原発を建てさせなない祝島島民の会」の山戸貞夫元会長がいう。原発は自民党のカネ蔓なのだ。